中小企業診断士試験「経済学・経済政策」完全攻略ガイド

経済学って何を勉強するの?

中小企業診断士1次試験の「経済学・経済政策」は、経済の基本的な仕組みを理解する科目です。難しい数式を覚える必要はありません。大切なのは「なぜそうなるのか?」を図やグラフで説明できることです。

この科目では、ミクロ経済学(企業や消費者の行動)マクロ経済学(国全体の経済の動き)の2つの分野から出題されます。

細かいことは別にして、ざっくりと中小企業診断士の一次試験「経済学・経済政策」の概要をまとめます。用語や理論については、別投稿でまとめるとして、ここでは全体像を理解しましょう。

ミクロ経済学:身近な経済活動を理解しよう

ミクロ経済学とは?

私たちの日常生活に関わる経済活動(商品の値段がどう決まるか、企業がどう利益を上げるかなど)を扱う分野です。

主要テーマと学習ポイント

1. 需要と供給の関係

  • 覚えるべきこと:価格が上がると需要は減り、供給は増える
  • 重要用語:価格弾力性、均衡価格
  • 学習のコツ:グラフの形(右下がりの需要曲線、右上がりの供給曲線)を必ず描けるようになる

2. 消費者の行動

  • 覚えるべきこと:消費者は限られたお金で最大の満足を得ようとする
  • 重要用語:効用、無差別曲線
  • 学習のコツ:理論は複雑でも「お得感を求める消費者の気持ち」として理解する

3. 企業の行動

  • 覚えるべきこと:企業は利益を最大化しようとする
  • 重要用語限界費用(MC)、限界収入(MR)
  • 基本公式:利益最大化の条件は「限界費用 = 限界収入」

4. 市場の種類

  • 完全競争:たくさんの企業が競争(農産物市場など)
  • 独占:1社だけが商品を販売(電力会社など)
  • 寡占:少数の企業が競争(携帯電話会社など)

5. 市場がうまく働かない場合

  • 重要概念:市場の失敗
  • 具体例:公害問題、公共財(道路、国防など)
  • 対策:政府が介入する必要がある

マクロ経済学:国全体の経済を理解しよう

マクロ経済学とは?

日本全体の経済(GDP、失業率、インフレなど)がどう動くかを扱う分野です。

主要テーマと学習ポイント

1. 国の豊かさの測り方

  • 重要指標GDP国内総生産
  • 理解のポイントGDPが増えると国が豊かになる
  • 学習のコツ:消費、投資、政府支出、輸出入の関係を押さえる

2. 経済政策の効果を分析する方法

  • IS-LM分析: 財市場と金融市場の関係を示すグラフ
  • AD-AS分析:総需要と総供給の関係を示すグラフ
  • 学習のコツ:グラフが複雑に見えるが「需要が増えれば経済が良くなる」という基本を押さえる

3. 景気・雇用・物価の関係

  • 重要概念:景気が良いと失業率は下がり、物価は上がる傾向
  • 重要用語:インフレ、デフレ、自然失業率
  • 具体例:バブル期(景気好調、物価上昇)とデフレ期(景気低迷、物価下落)

4. 政府と日本銀行の役割

5. 国際経済

  • 重要概念:為替レート、貿易収支
  • 理解のポイント:円安になると輸出有利、円高になると輸入有利
  • 具体例:円安で自動車の輸出が増える、円高原油の輸入コストが下がる

試験攻略のポイント

出題傾向を知ろう

  • 出題数:25問(100点満点)
  • 合格ライン:60点(15問正解)
  • ミクロとマクロの比率:ほぼ半々
  • 計算問題:5-7問程度(基本的な四則演算レベル)

得点源にすべき分野

  1. 需要と供給 - 毎年必ず出題
  2. 市場構造 - 完全競争と独占の違いは頻出
  3. IS-LM分析 - 難しいが配点が高い
  4. 金融政策 - 日本銀行の役割は時事問題としても重要

時間配分の目安

  • 1問あたり2-3分が目安
  • 計算問題は時間をかけすぎない(分からなければ後回し)
  • グラフ問題は落ち着いて解く(確実に得点できる)

合格するための心構え

経済学初学者が陥りがちな罠

  1. 完璧主義になりすぎる → 60点取れれば合格!
  2. 数式を覚えようとする → 理解重視で暗記は最小限に
  3. 難しい論点にこだわる → 基本問題を確実に解けるように

成功する学習者の特徴

  1. 図やグラフで理解する習慣がある
  2. 具体例で抽象的な概念を理解する
  3. 「なぜそうなるのか?」を常に考える
  4. 問題演習を重視している

最後に

経済学は「暗記科目」ではありません。「理解科目」です。最初は難しく感じても、基本概念が理解できれば一気に得点が伸びる科目でもあります。