市場構造とは?独占と完全競争の違いを図解でわかりやすく解説【中小企業診断士・経済学対策】

中小企業診断士の経済学・経済政策の科目では「市場構造」が頻出テーマです。

「独占とか完全競争とか・・・なんだか小難しそう」と感じる方もいるかもしれませんが、ポイントを押さえればシンプルに理解できます。

この投稿では、市場構造の中でも特に「完全競争市場」と「独占市場」にフォーカスして解説します。グラフが苦手な方も、文章でざっくり理解できるように工夫していますので、安心して読み進めてください。

市場構造とは?

「市場構造」とは、売り手(企業)と買い手(消費者)がどのように存在しているか、つまり“競争の状況”を表す分類のことです。診断士試験では、企業の戦略や経済政策を考えるうえで基礎となる知識として問われます。

代表的な市場構造は以下の4つです

  • 完全競争市場
  • 独占市場
  • 寡占市場
  • 独占的競争市場

今回はまず、特に試験でよく出る「完全競争」と「独占」をしっかり押さえましょう。

完全競争市場とは?

完全競争市場は、経済学における『理想的な競争状態』です。

特徴

  • 売り手が多数存在しており、一社が価格に影響を与えることはできない。
  • 商品の質がすべて同じ(同質財)なので、消費者は価格の安いほうを選ぶ。
  • 市場価格は需要と供給で決まり、企業はその価格を受け入れるだけプライステイカー)。
  • 参入・退出が自由であり、長期的には異常利潤(儲けすぎ)はゼロになる。
  • 完全情報が前提。全ての経済主体が市場の情報を知っている状態。

試験のポイント

  • 限界費用(MC)=価格(P)のとき、利潤が最大になります。
    * 企業の供給曲線は、限界費用曲線の一部と一致します。
    * グラフでは、横にまっすぐな価格線と、右上がりのMC曲線の交点が出題されやすいです。

独占市場とは?

独占市場は、たった1社だけがその財・サービスを供給している市場です。

特徴

  • 代替財がないため、消費者はその企業から買うしかない。
  • 価格決定権を企業が持つ(プライスメイカー)
  • 参入障壁が高い(例:特許、法律、資本など)
  • 利潤が継続的に発生しやすい。

試験のポイント

  • 独占企業は、限界収入(MR)=限界費用(MC)の点で利潤最大化を図ります。
  • 市場価格は、この点よりも高い価格に設定される(価格>限界費用)。
  • 結果的に、消費者余剰が減少し、死荷重(社会的損失)が発生します。

完全競争と独占の違いを整理しよう

項目

完全競争市場

独占市場

売り手の数

多数

1社

価格決定権

なし(価格受け入れ)

あり(価格設定)

商品の性質

同質(どれも同じ)

独自性あり(他に代替なし)

長期的利潤

ゼロ(競争により利潤は消える)

プラス(参入障壁が高く利潤継続)

市場価格

限界費用=価格

限界費用<価格(高く設定)

この表を見ながら、「価格を企業がコントロールできるか」が両者の決定的な違いだと理解しておくと、記憶にも残りやすくなります。

よく出るグラフ問題と注意点

試験では、以下のようなグラフを見て答える問題が出ます:

  • 完全競争企業:横一直線の価格線とMC曲線の交点
  • 独占企業:MR曲線とMC曲線の交点から価格を読み取る(需要曲線との接点)

グラフを見るのが苦手な方は、まず「どの線が誰なのか(需要?供給?収入?費用?)」を把握する練習から始めましょう。

まとめ:まずは「価格の決め方」に注目しよう

「市場構造」と聞くと難しそうですが、「価格を誰が決めているのか?」という視点で考えると、グッと理解しやすくなります。

  • 完全競争:市場が価格を決める → 企業はそれに従う
  • 独占:企業が価格を決める → 消費者はそれを受け入れるしかない

この基本をおさえておけば、寡占市場や独占的競争市場など、より複雑な市場構造もスムーズに理解できるようになります。