「GDPデフレーター」って何?

名目GDPと実質GDPの差を埋めるカギが「物価指数」です。

前回のおさらいです。

 

hirame18.hatenablog.jp

  • 名目GDP:その年の“見たまま”の経済の金額
  • 実質GDP:物価の変化を取り除いた“本当の経済の実力”

たとえば、コーラの値段が上がってGDPも上がったように見えても、「実際のモノの量」が増えてなければ、それは見かけ倒しの成長です。

じゃあ、

「名目GDP」と「実質GDP」の差って、どうやって計算してるの?

その答えが、GDPデフレーターです。

GDPデフレーターって何?

簡単に言うと、GDPデフレーターはこういうものです。

名目GDPを実質GDPで割って、物価の変化を数値で表したもの

数式で表すとこうなります。

GDPデフレーター(%) =(名目GDP ÷ 実質GDP)× 100

つまり、GDPデフレーター「物価がどれくらい変わったか」を示す指標です。

コーラで再び!具体例でスッキリ理解しよう

2024年の町(基準年)

  • コーラ:100円
  • 売上(名目GDP)= 100円 × 1,000本 = 10万円
  • 実質GDP(基準年なので同じ)=10万円
  • GDPデフレーター=(10万 ÷ 10万)×100 = 100

2025年の町

  • コーラ:120円(値上がり)
  • 売上(名目GDP)= 120円 × 1,000本 = 12万円
  • 実質GDP(価格を100円に固定して計算)=10万円
  • GDPデフレーター=(12万 ÷ 10万)×100 = 120

GDPデフレーター100→120に上がった。これはつまり、物価が20%上がったことを意味します。

GDPデフレーター」が大事な理由

「インフレが進んでるのか、それとも経済の中身が大きくなったのか」を見極めるために、物価の影響を数値でつかむ必要があります。

それができるのが、このGDPデフレーターです。

実際のビジネスや政策判断では、こんなふうに使われます。

  • 名目GDPは上がってるけど、デフレーターが急上昇してる → 実力は上がってないかも
  • 名目GDPと実質GDPが近く、デフレーターが安定 → 経済が着実に成長している可能性あり

他の「物価指数」との違いは?

経済には他にも「物価指数」があります。

例えば

指標名

主な対象

特徴

消費者物価指数(CPI)

一般家庭の買い物

私たちの生活に近い物価の変化を見る

企業物価指数(CGPI)

企業間での取引価格

原材料や部品などの物価変動を見る

GDPデフレーター

経済全体(国内で生産されたすべて)

経済全体の“モノとサービス”の物価変化

GDPデフレーターは、経済全体の“平均的な物価の動き”を示します。
→ 「物価全体が上がってるか?」を見るには、CPIよりもGDPデフレーターのほうが広い範囲をカバーします。

まとめ:GDPデフレーターで「経済の温度」を測ろう!

用語

カンタンな意味

名目GDP

その年の価格での経済の大きさ

実質GDP

物価の影響を取り除いた“実力”

GDPデフレーター

名目と実質の差=物価変化の指標

GDPデフレーターは、経済という体温計の「温度」を測るような存在です。

「熱があるのか(インフレ)?」「冷えているのか(デフレ)?」を、数値で教えてくれます。

試験対策ポイント

  • GDPデフレーターの公式は必ず覚える!(名目 ÷ 実質 × 100)
  • 名目GDPと実質GDPの違いを問う問題では、「物価の影響」に注目!
  • デフレーターが上がる=インフレ、下がる=デフレ、という感覚も大事!