国民所得の決まり方をやさしく解説!|ケインズ型45度線分析って何?
この投稿では、中小企業診断士試験の「経済学・経済政策」の中でも「???」となりやすいテーマ、
「国民所得の決定」ってどういうこと?
について、できるだけやさしく、図をイメージしながら説明していきます。
「経済学とか、学生の頃にやったけどサッパリだった・・・」という方でも安心して読める内容を目指しています。
「国民所得」ってそもそも何?
まず、「国民所得」という言葉にピンと来ない方も多いかもしれません。
ざっくり言えば、私たち国民みんなの稼ぎの合計です。
企業で働いた人がもらう給料も、個人事業主の売上も、企業の利益も、全部まとめて「国民全体の所得(=国民所得)」と呼びます。
国民所得はどうやって決まるの?
ケインズという経済学者は、こう考えました。
「みんながどれだけモノやサービスを買ってくれるか(需要)が、国民の稼ぎ(所得)を決めるんだよ」
つまり、みんながお金を使えば経済が回る。逆に、使わなければ経済は止まってしまう。
この考えをもとに、国民所得がどう決まるかを考える「45度線分析」という方法があります。
45度線分析ってなに?(ざっくり図解)

イメージしてみてください。
- 横軸(横の線):私たちみんなの所得
- 縦軸(縦の線):私たちみんなの支出(モノやサービスを買うお金)
この2つが交わるポイントで、「経済がちょうど釣り合う地点=国民所得の決定点」がわかります。
※ 45度線とは、「稼いだ分だけキレイに使っている」状態を表す線です。
消費と投資がカギ!
国民がお金を使う先には、大きく2つあります。
1.消費
普段の生活で使うお金(食費、光熱費、洋服など)
これは所得に比例して増えます。収入が増えたらちょっと贅沢しますよね?
2.投資
企業が将来のためにお金を使うこと(新しい工場や設備の購入など)
これはこのモデルでは「一定」と考えます。一定額が毎年経済に注入されているようなイメージです。
消費の増え方には「クセ」がある
ケインズは「人は収入が増えても、そのすべてを消費に回すわけじゃない」と言いました。
この考え方を「限界消費性向(げんかいしょうひせいこう)」といいます。
たとえば、収入が10万円増えても、全部をパーッと使う人は少ないですよね。8万円だけ使って、2万円は貯金するような感じ。
この「増えた所得のうち、どれだけ消費に回すか?」の割合が限界消費性向です。
乗数効果ってなに?
「ちょっと難しそう・・・」と思うかもしれませんが、ここもイメージで理解できます。
たとえば
- ある企業が設備投資で100万円を使う
- それを受け取った会社の社員が、給料をもらってお金を使う
- そのお金を受け取ったお店がまた消費をする・・・
こうやって、お金がグルグル回って、最初の100万円が何倍にもなって経済を刺激する現象を「乗数効果」といいます。
この効果の強さは「限界消費性向」によって決まります。
まとめ:国民所得の決まり方は、こう考える!
- みんながどれくらいお金を使うかが、経済の大きさ(国民所得)を決める
- お金を使うには「消費」と「投資」がある
- 消費の増え方にはクセ(限界消費性向)がある
- 投資が増えると、それが波及して何倍にも広がる(乗数効果)
- こうして国民の所得(経済の規模)は決まっていく
「国民所得の決定」と聞くと難しく感じますが、イメージとしてはとてもシンプルです。
誰かが使ったお金が、別の誰かの所得になる
この連鎖が経済なんですね。
中小企業診断士試験では、この流れを図で理解し、ちょっとした計算ができればOKです!
苦手意識を持たず、まずは「イメージでつかむ」ことから始めてみましょう!