【体験談】退職前に始めた“静かな反撃”──減給通知は労働契約法違反だった
退職日が目前に迫ったある日、僕は会社と“交渉”を始めました。まさか最後の一週間で、こんな形になるとは思ってもいませんでした。でも、それは単なる思いつきではなく、「黙って辞めるにはあまりにも悔しい」出来事があったからです。
この記事では、僕が経験した「退職直前の減給トラブル」と、それに対するささやかな反撃について書いていきます。同じように会社に不満や理不尽を感じている方の参考になればと思います。
減給の通知は「給料日後」だった
事の発端は、ある日突然知らされた賃金体系の変更でした。それによって、僕の月収は10万円も減ることになりました。しかも、それを正式に知らされたのは、4月分の給料が支払われた後のこと。
つまり、給料日まで普通に働いていたのに、「あの仕事は実は10万円分安かったことにします」と後出しされたような状態です。
納得できるわけがありません。
労働契約法第9条「不利益変更」に該当する可能性
さらに、このような後出しの減給は、明らかに労働契約法第9条に定められた「不利益変更」に該当する可能性があります。
労働契約法 第9条(労働条件の変更)
使用者は、労働者との合意なしに、労働契約の内容である労働条件を一方的に変更してはならない。
つまり、労働者の同意を得ずに、勝手に給料を減らすことはできないのです。
仮にこのまま退職しても、僕が正式に訴えれば会社は「差額を支払え」と言われる可能性があります。さらにいえば、「減給がなければ辞めなかった」という理由が成り立てば、退職の効力すら無効とされるケースもあるということです。
僕は会社にしがみつくつもりはない──でも、損失は取り戻したい
とはいえ、僕は今さらこの会社に戻る気などありません。そもそも、これまでの働き方に不満があったからこそ辞める決意をしたわけです。
ただ、金銭的な損失については話が別です。
10万円の減給が3ヶ月続いたことで、僕は合計30万円もの損をしたことになります。それを「はいはい」と受け入れて辞めるのは、さすがに悔しい。だから、僕は退職を予定通り進める一方で、会社に対してこう伝えました。
「退職は予定通り行います。ただし、不利益変更によって生じた差額分については、誠意ある対応をお願いします」
交渉で使ったのは「時系列」と「条文」
最初、人事部は「そんなつもりはなかった」「全員に適用しているので特別な意図はない」などと、定型的な言い訳で逃げようとしました。
しかし、僕は労働契約法の該当条文を見せ、いつ、どんな通知があり、どのタイミングで支給があったかを時系列で整理して示しました。
さすがにここまで論理立てて説明されると、相手も無視できません。人事の担当者の顔色が目に見えて変わったのを覚えています。
冷静に、粘り強く、そして静かに。
これは単なる金銭交渉ではなく、自分自身への小さな「エール」だったのかもしれません。
有給は36日も残っていた
ちなみに、僕には有給休暇が36日も残っていました。当然、この買取についても会社に請求をしています。
法的には、会社側に有給の買い取り義務はありませんが、退職時に交渉次第で支払いに応じてもらえるケースは少なくありません。会社としても、損害賠償請求やトラブルを避けたいという心理が働くからです。
退職届を出して終わり、ではなく、ここもきちんと交渉することで、後悔のない終わり方ができるのではないかと思います。
僕は“一人情シス”だった
僕の立場はというと、社内でたった一人の情報システム部門担当。社内インフラ、業務システム、ホームページ、情報セキュリティ体制(ISMS)まで、ITに関することはすべて僕の肩にのしかかっていました。
要するに「便利屋」的な存在です。しかも、責任は重く、評価は曖昧。仕事量は多く、何か問題が起きれば真っ先に矢面に立たされる。
そんな立場で働いてきたにもかかわらず、減給の理由として会社が提示してきたのは、まるで社労士が書いたマニュアル文のような「仕事をする能力が低い」などという言い分。
正直、怒りというより呆れました。
「声を上げること」で自分が前に進めた気がした
僕がこうして声を上げたのは、会社を攻撃したかったからではありません。単に、「理不尽なまま終わらせたくなかった」という気持ちです。会社に残る人たちのためにも・・・です。
たとえ小さな交渉でも、「自分はちゃんと立ち向かったんだ」と思えることで、次の一歩を少しだけ前向きに踏み出せる気がします。
それに、こうしたやり取りを通じて、法律や労働環境について自分でも勉強することができました。結果として、辞める会社に感謝することはできないけれど、「この経験は無駄じゃなかった」とは思えています。来年取得を目指している「中小企業診断士」の糧にもなるはずです。
最後に:退職前のあなたに伝えたいこと
もしあなたが今、退職を考えている、あるいは退職が決まっている状態で、会社に対して「何か納得がいかない」と感じているなら、どうかその気持ちを見過ごさないでください。
大きな声を上げる必要はありません。冷静に、ルールを調べて、記録を整理して、粘り強く伝えることが大切です。
退職は“終わり”ではなく“始まり”です。そのスタート地点で、自分に恥じない選択をしてほしい。
僕もまだ結果は出ていません。でも、少なくとも「黙って辞める」という選択をしなかったことに、今は少しだけ満足しています。
<筆者プロフィール>
元・一人情シス社員。現在はフリーランスとして独立準備中。理不尽や曖昧さにモヤモヤした経験を、こうして文字にすることで消化しています。