昭和の「幸せ」は過去の遺物:令和を生き抜くための新常識
「いい大学に入って、大企業に就職し、結婚して子どもを育て、定年を迎え、年金で悠々自適に暮らす」と言った、昭和の時代には当たり前とされたこの「幸せのテンプレート」は、もはや幻想に過ぎません。多くの人が薄々気づいているものの、未だにこの古い価値観に縛られている、もしくは変化から目を背けている人もいるのではないでしょうか。
厳しい話になりますが、僕たちは目を覚ます時が来ました。これは、もはや「対応終了した旧バージョンの幸せ」です。
就職氷河期世代が肌で感じた現実
特に就職氷河期に社会に出た世代は、この現実を嫌というほど痛感しているのではないでしょうか。
どれだけ努力して「いい大学」を卒業しても、待ち受けていたのは非正規雇用という現実。ようやく「大企業」に就職できたと思いきや、会社の都合で早期退職を余儀なくされるケースも珍しくありません。
恋愛や結婚に関しても、かつてのような自然な出会いは減り、マッチングアプリが主流に。結婚は経済的な負担が大きく、高嶺の花と化し、子育ては「自己責任」の名の下に個人の負担が増大しました。そして、定年まで勤め上げようと心に誓った会社が、その前に消滅してしまうという信じられない経験をした人も少なくありません。
さらに深刻なのが、年金制度の崩壊です。僕たちの世代が年金を受け取る頃には、「気持ちだけ受け取ってください」と言われてもおかしくない状況が待っています。
これまで当たり前とされてきた社会保障のシステムが揺らぎ、個人の力で生き抜く力がこれまで以上に求められる時代になったのです。
令和は「サバイバルゲーム」の時代
令和の時代は、まさに「サバイバルゲーム」です。国が、会社が、社会が、私たち個人を守ってくれるという甘い考えは、もはや通用しません。そのような考えでいると、あっという間に「搾取される側」に回され、気がつけば社会の底辺に追い込まれてしまいます。一度底辺に追いやられてしまえば、そこから這い上がるチャンスすら与えられないのが、現代社会の厳しい現実です。
かつての昭和の時代には、学校で教えてくれることや、親世代が歩んできた道が「人生の攻略法」でした。しかし、その攻略法をそのまま令和の時代に持ち込んで挑んだところで、それは冒険に出る前に即ゲームオーバーとなるようなものです。僕たちは、これまでとは全く異なるルールでゲームが進行していることを認識し、新たな攻略法を身につけなければなりません。
変化の波を乗りこなす「令和型幸福論」
では、この「サバイバルゲーム」を生き抜き、令和の時代における「幸せ」を掴むためには、どのような視点と行動が必要なのでしょうか。僕たちは、昭和のテンプレートを捨て去り、「令和型幸福論」を構築する必要があります。
1.「会社依存」からの脱却と「個の力」の強化
昭和の時代は、終身雇用を前提とした「会社依存型」の働き方が主流でした。しかし、現代において、一つの会社に全てを依存することは極めてリスクが高いと言えます。企業は常に変化し、事業の再編やリストラの可能性は常に付きまといます。
令和の時代を生き抜くためには、会社にぶら下がるのではなく、「個の力」を徹底的に強化することが不可欠です。具体的には、以下のような行動が求められます。
- 市場価値の高いスキル習得: プログラミング、データ分析、デジタルマーケティング、語学など、将来にわたって需要が見込まれるスキルを積極的に学び、習得することが重要です。常にアンテナを張り、自身のスキルをアップデートし続ける意識が必要です。
- 主体的なキャリア形成: 会社に与えられた仕事だけをこなすのではなく、自らのキャリアパスを主体的に考え、必要であれば転職や独立も視野に入れる柔軟な姿勢が求められます。複数の収入源を持つ「ポートフォリオ型キャリア」も選択肢の一つです。
- 情報リテラシーの向上: フェイクニュースや誤情報が氾濫する現代において、正しい情報を見極め、活用する能力は極めて重要です。経済状況、社会の変化、テクノロジーの進化など、常に最新の情報に触れ、自らの判断力を磨く必要があります。
2.「貯蓄信仰」からの脱却と「投資思考」への転換
かつては「銀行預金こそが安全な資産形成」と考えられていましたが、超低金利時代においては、預金だけでは資産は増えません。むしろ、インフレによって実質的な価値が目減りしていくリスクさえあります。年金制度への不安が高まる中、老後資金を預金だけで賄うことは現実的ではありません。
これからの時代は、「貯蓄信仰」からの脱却と「投資思考」への転換が不可欠です。
- NISAやiDeCoの活用: 国が推奨する非課税投資制度であるNISAやiDeCoを積極的に活用し、長期的な視点で資産形成に取り組むことが重要です。少額からでも良いので、まずは始めてみることが大切です。
- 金融リテラシーの向上: 投資はリスクを伴うものであり、無知なままでは危険です。資産運用の基礎知識、リスク分散の考え方、詐欺の見分け方など、金融リテラシーを向上させるための学習は欠かせません。
- 自己投資の重要性: お金を使うことに対して、「消費」や「浪費」として捉えがちですが、自身のスキルアップや健康維持、人脈形成など、将来のリターンが期待できる「自己投資」には積極的にお金をかけるべきです。
3.「見栄」を捨て「本当に必要なもの」を見極める
SNSの普及により、他人のキラキラした生活が可視化されやすくなった現代において、「人からどう見られるか」という見栄に囚われ、不要なものに時間やお金を費やしてしまう傾向があります。しかし、限られたリソースを有効活用するためには、こうした見栄を捨て、本当に自分にとって必要なもの、価値のあるものを見極める力が重要です。
- ミニマリズムの追求: 僕もなかなか出来ていませんが、モノを所有することに執着せず、本当に必要なものだけでシンプルに暮らすミニマリズムの考え方は、精神的な豊かさをもたらすだけでなく、無駄な出費を抑えることにも繋がります。
- 人間関係の再構築: SNS上での「つながり」は増えたものの、本当に信頼できる人間関係は希薄になりがちです。量よりも質を重視し、いざという時に助け合えるリアルな人間関係を構築することに注力すべきです。
- 幸福の定義の再考: 社会や他人が示す「幸せ」の基準に流されるのではなく、自分自身にとって何が「幸せ」なのかを深く考え、自分なりの幸福の定義を持つことが重要です。物質的な豊かさだけでなく、精神的な充足感、健康、時間の自由など、多角的な視点から幸せを捉え直すことが求められます。
新たな価値観で「令和の幸せ」を掴む
昭和の時代は、画一的な「幸せのテンプレート」が存在し、多くの人がそれを目指せば安定した生活が送れました。しかし、予測不能な現代において、そのテンプレートはもはや通用しません。僕たちは、過去の成功体験や固定観念に囚われず、常に変化に対応し、自ら道を切り拓いていく強さが求められています。
「国や会社が守ってくれる」という甘えを捨て、「自分の人生は自分で責任を持つ」という強い意志を持つこと。そして、変化の波を恐れるのではなく、それをチャンスと捉え、柔軟に対応していくことで、令和の時代における自分なりの「幸せ」を掴むことができるでしょう。
この「サバイバルゲーム」を乗り越え、自分らしい人生を謳歌するためには、今こそ行動を起こし、新たな価値観をインストールする時です。あなたは、この「令和」という時代を、どのように生き抜いていきますか?
<筆者プロフィール>
元・一人情シス社員。現在はフリーランスとして独立準備中。理不尽や曖昧さにモヤモヤした経験を、こうして文字にすることで消化しています。